患者様へ

腱板断裂:

腕を挙げる動作には肩甲骨と上腕骨をつないでいる腱板が重要な役割を担っています。腱板断裂とは、この重要な腱が断裂してしまったもので【図3】、中高年に多く、腕を挙げる動作がしにくくなったり、挙げ降ろしの時に骨のひっかかり感や痛みを認めたりします。怪我が原因で起こることもありますが、たいした怪我もなく徐々に症状が出てくることも多く、一般整形外科医の中では、「五十肩」として扱われている場合が多いです。一般的な治療を3~6ヶ月間しても治らない場合には、我々肩外科医のような肩の専門医師を受診したほうが適当で、MRIや超音波検査にて診断が可能です【図3】。活動性が低い場合には、注射やリハビリテーションなどの保存療法が有効になる場合もありますが、活動性が高く、症状が強い場合には、断裂した腱板の修復手術が必要になります。

腱板断裂
【 図3 】

その際、我々は、内視鏡で腱板を修復する、『関節鏡視下腱板修復術』を行っています【図4】。腱板断裂の状態を正確に評価した上で、骨の中に糸を通したり、スーチャーアンカーといわれる糸がくっついた固定材料を骨の中に埋め込んだりして、それらの糸を使って断裂した腱を骨の中に縫い合わせていきます。術後は、修復した腱に緊張をかけないようにして、腱が治り易くなるように、腕を広げた状態を維持するために、肩外転固定装具の装着が通常4~6週間必要になります【図5】。ただし、非常に広い範囲に腱板が裂けてしまっている(広範囲腱板断裂)場合には、装具装着の期間が、8~12週間に延長されることもあります。その後約3ヶ月間のリハビリテーションで日常生活での生活の支障は概ね軽快します。術後にはMRI検査で腱板の修復状態を評価することも可能です【図6】

関節鏡視下腱板修復術
【 図4 】
肩外転固定装具
【 図5 】
術前MRI / 術後MRI
【 図6 】
ページの先頭へ