患者様へ

インピンジメント症候群:

腱板断裂を引き起こす予備軍の症候群のことで、インピンジメントとは衝突を意味します。腕を挙げる動作や捻じる動作で、肩甲骨と上腕骨の骨同士の衝突と痛みを認めます。痛みのない場合は経過観察ですが、痛みを認める場合には、腱板断裂に進行してしまう場合があり、我々のような肩外科医を受診して頂くのが適当で、MRI検査や造影検査が有用です【図7】。MRI検査では、腱板の表面を覆っている滑液包(潤滑油が入った袋)が炎症を起こした像が確認できます。また、その滑液包の中に造影剤と麻酔剤を入れる造影検査では、骨の衝突に伴う痛みが消失することで確定診断が下されます。インピンジメント症候群に対しても我々は肩関節鏡視下手術を行っており、衝突する余計な骨を切除したり、滑液包の炎症を取り除いたりすることで症状は軽快します。術後は、三角巾による安静が数日必要なだけで、腱板断裂術後のような装具の固定は一切不要です。

元々、インピンジメント症候群を引き起こす原因に、肩甲骨の位置異常や動きの異常を認めることが多く、術後のリハビリテーションで、肩甲骨の異常を矯正していくことによって、この病気の再発を予防できます。通常、術後1カ月から数カ月のリハビリテーションが必要になります。

インピンジメント症候群 / MRI検査と造影検査
【 図7 】
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