患者様へ

反復性肩関節脱臼:

転倒やスポーツ中の外傷などを契機として肩関節の脱臼が起こり、それが癖になって何度も肩が外れるようになってしまった状態を言います。肩関節の安定化に関わっている上腕骨と肩甲骨の間にある靭帯が、肩関節が脱臼したことで骨から剥がれたり裂けたりしている場合が多く、この靭帯の損傷が自然には治りにくいために反復性になりやすいわけです【図11】。したがって、完全な肩関節の安定化には、この靭帯の修復を行う手術以外に方法はありません。従来はこの靭帯の修復を切開手術で行うことが一般的でしたが、我々はほぼ全ての靭帯修復を関節鏡視下に行っております。切開手術では、正常な組織を損傷したり正常な構造を変えたりするため、術後に余計な肩の"かたさ"を引き起こしてしまい、肩は外れないけれども動きの悪い状態になってしまっていました。一方、関節鏡視下手術では、悪い靭帯の箇所だけを正確に修復できるので、不必要な肩の"かたさ"を起こさないで肩が外れない状態を作ることが可能です。手術は関節鏡視下にスーチャーアンカーといわれる糸がくっついた固定材料を骨の中に埋め込み、その糸を使って骨から剥がれた靭帯を骨に縫い縮めていきます【図12】。術後は修復した靭帯にストレスをかけないようにするために、肩中間位固定装具の装着を3~4週間行い【図13】、その約1ヶ月後には日常生活での支障は概ねなくなります。その後、約2~4ヶ月間のリハビリテーションで様々なスポーツへの復帰が可能になります。

肩関節脱臼 / 靭帯の損傷
【 図11 】
反復性肩関節脱臼に対する関節鏡視下手術
【 図12 】
肩中間位固定装具
【 図13 】
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