患者様へ

変形性肩関節症:

肩関節の軟骨がすり減ってしまい、骨同志がこすれる状態になってしまっている状態です。膝関節や股関節のような下肢の関節に多い病気ですが、肩関節にも認めることが多くなってきています。程度が軽い場合には、傷んだ軟骨や炎症部分を取り除いたりする関節鏡視下手術が有用ですが、程度が高度の場合には、人工関節置換術が必要になります。(関節鏡視下には無理で、約7~10センチ程度の切開手術が必要になります。)

変形性肩関節症には二種類あり、腱板が残っている場合と腱板が残っていない場合があります。腱板が残っている場合には、変形した部分を取り除いて、通常の骨の構造と同様の形をした「通常型人工肩関節」に交換します【図16】。一方、腱板が残っていない場合には、上腕骨が上にずれてしまい、著しい変形を起こしてしまいます。その場合には、変形した部分を取り除いて、『リバース型人工肩関節』を用いた人工関節置換術を行います【図17】。リバースの意味は逆転ですので、リバース型人工関節の場合、通常の肩関節の頭と受け皿の構造が真逆の形態になっております。真逆の構造にすることで、リバース型人工肩関節では、関節の変形の問題と腱板の問題の両方を同時に治すことが可能で、関節の安定化と挙上動作の改善が期待できます。

術後は、通常型人工肩関節の場合、三角巾固定が約1週間必要で、その後、約3~6ヶ月間のリハビリテーションで日常生活での支障は概ねなくなります。リバース型人工肩関節の場合、装具固定が約2-3週間必要ですが、同様に、その後、約3~6ヶ月間のリハビリテーションで日常生活での支障は概ねなくなります。(なお、リバース型人工肩関節を執刀するには資格が必要で、我々大阪ショルダーチームのメンバーはその資格を保有しております。)

腱板が残っている場合の「通常型人工肩関節」
【 図16 】
腱板が残っていない場合の「リバース型人工肩関節」
【 図17 】
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