医療関係者様へ

忘れられた関節、それが肩関節

肩関節は長年に渡り、整形外科医の興味の対象から外れていました。膝関節、股関節、脊椎を患うと、立って歩くことが出来ないため、多くの整形外科医が治療対象としてきた経緯があります。一方、上肢の中で、手指の障害は人間特有の巧緻性の高い動きが障害されることから、それらを治療対象とする手外科領域は、比較的多くの整形外科医の興味対象となってきました。しかし、同じ上肢の中でも、肩関節はずっと忘れられた関節でした。しかし、日常臨床において、膝痛、腰痛の次に多い訴えは肩痛です。整形外科医にとって、肩関節をないがしろにすることが出来ない状況になって、初めて肩関節が未開の領域であることに我々は気づきました。他の関節では多くの先駆者が幾多の研究をされてきましたが、肩関節に関しては、分からないことだらけです。肩関節が注目される時代がやってきました。

肩関節

複雑な肩関節の構造

肩関節は、軟部組織で安定性と可動性をもっているボールアンドソケット関節です。膝や肘関節に代表されるヒンジ関節の様に、骨性支持機構で安定化している単純な構造ではありません。また、同じボールアンドソケット関節の中でも、股関節のように、比較的大きな臼蓋に対して大腿骨頭が荷重関節を形成しているのではなく、非常に小さな肩甲骨関節窩に対して上腕骨頭がぶら下がった非荷重関節です。つまり、骨性支持機構も少なく、荷重による安定性も少ないのが肩関節の特徴です。よって、肩関節の安定化には関節包靭帯の緊張が重要であり、肩関節の可動性には腱板筋のインナーマッスルと三角筋を中心としたアウターマッスルの協調運動が非常に重要になります。これらの特徴的な肩関節の構造が肩関節の複雑さを示す所以です。

複雑な肩関節の構造

肩甲骨を制する者は肩関節を制する?

肩関節における肩甲骨の役割は重大です。なぜなら、肩甲骨は、胸郭に対しては筋肉での連結しかもたず、体幹に対しても肩鎖関節を通じて鎖骨を介した骨性連結しかもっていません。肩関節は肩甲骨を基盤に形成された関節ですので、肩甲骨を無視して肩関節の論議をすることが出来ません。

元来、肩関節は肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節の二つの関節を介して成り立っておりますが、整形外科医の中で肩を専門とする肩外科医にとっても、これら二つの関節の動きを正確に評価して、複雑怪奇な肩甲骨を正確に検討することは至難の業です。ある意味では、我々肩外科医は、肩甲上腕関節の骨、軟骨、靭帯、腱、筋肉等の解剖学的構造の破綻を修復あるいは再建することは得意ですが、肩甲骨を中心とした肩甲胸郭関節の正確な評価は、運動器のプロである理学療法士の中でも、肩を専門とする肩専門理学療法士の協力なくしては不可能ではないでしょうか。

  • 肩甲骨の位置
  • 肩甲骨を動かす筋肉
  • 肩甲胸郭運動の評価1
  • 肩甲胸郭運動の評価2
  • 肩甲胸郭運動の評価3

肩外科医と肩専門理学療法士の協力で、推し進める研究

前述の通り、肩関節疾患を極めていくには、肩外科医と肩専門理学療法士のコンビネーションが必須です。我々、大阪ショルダーチームには、優秀な肩外科医と優秀な肩専門理学療法士がタッグを組んでおります。そして、チームの目的は、肩関節疾患に対する①臨床、②教育、③研究です。臨床の現場では、様々な疑問がよどみなく出てきます。そして、その疑問を解決するためには、様々な研究が湧き出てきます。そして、個々の研究には、肩外科医と肩専門理学療法士の枠を越えて、熟練研究者が若手研究者を教育しながら推し進められていきます。

現在までに、国内及び海外の多くの学会や研究会で、様々な発表をして参りました。また、様々な論文を輩出して参りました。我々の業績をご覧頂き、肩関節疾患の治療、教育、研究に興味をお持ちの方は、是非、我々にコンタクトをとって頂ければ幸いです。

  • 学会01
  • 学会02
  • 学会03
  • 学会04
  • 学会05
  • 学会06

世界の肩関節外科をリードするフランス肩外科医との交流

フランス肩外科医は今まで多くの研究をしてきました。言うならば、世界の肩関節外科を牽引してきたと言っても過言ではないほどです。我々は、以前からフランス肩外科医と多くの交流を深めて、研鑽を積んで参りました。その経験は我々にとって最高の財産のひとつです。知識の積み重ね、国際交流の積み重ねは、意識の向上と人間性の向上につながると信じております。これからも、大阪ショルダーチームのメンバーは、益々、国際交流を深めて、自分磨きの旅を続ける予定です。

バーシュ先生と伊藤先生 ボアロー教授とともに ファバード教授とともに コラン先生と間中先生 シルボー教授とともに レビン先生とニートン先生とともに レビン先生とファバード先生とともに コラン先生とともに ニートン先生とともに
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